結論
間取り図を内装業者様に渡す前に、レジカウンターの位置だけは先に仮決めしておくことをおすすめします。お客様導線とスタッフ導線が交差しない位置を選び、レジ待ちの列が他の動線をふさがない奥行きを確保していただければ、内装設計の打ち合わせがスムーズに進みます。
・物件契約後、内装業者様との打ち合わせ前の方
・間取り図は届いたが、レジの位置を決めかねている方
・図面上の見た目だけで配置してしまい、後で動線がぶつかる失敗を避けたい方
1. カウンター客席型(飲食店・カフェ)
ポイント:レジを厨房寄りに置くと、注文の受け渡しとお会計が一直線になり動きが減ります
【配置の基本】想定規模:10〜15坪(カウンターメイン)
・厨房エリア(奥):スタッフのメイン作業場
・推奨レジ位置:厨房出入口の「すぐ脇」(動線口)
・客席フロア(手前):レジ前でスタッフとお客様が交差しない余白を確保
レジをカウンターの端(厨房側の出入り口に近い位置)に置くと、スタッフが注文を受けてからお会計まで一連の動きで完結しやすくなります。逆にレジを客席寄りの端に置いてしまうと、会計のたびに厨房と客席を往復することになり、忙しい時間帯に動線が渋滞しやすくなります。
よくある失敗:図面の見た目を優先して「入口から見て一番目立つ位置」にレジを置いてしまい、厨房からの距離が遠くなってスタッフの動きが増えてしまうケースです。
2. セルフレジ・券売機型(飲食店)
ポイント:入口とレジ待ちの列が交差しない奥行きを確保します
【配置の基本】想定規模:10〜15坪(回転率重視)
・厨房/フロア(奥):スタッフ・調理作業の後方エリア
・推奨レジ位置:入口近くの壁際(扉から1〜1.5m引いた引き込み位置)
・入口〜レジの通路:お客様が交差せず並べる余白を確保
入口のすぐそばに設置すると案内はしやすいのですが、混雑時にレジ待ちの列が伸びると、入店されるお客様と交差してしまうことがあります。目安としては、入口の扉から券売機・レジまでの間に1〜1.5メートル程度の余白を空けておくと、列が伸びても入店の妨げになりにくくなります。
券売機・セルフレジは自動釣銭機を内蔵したタイプが中心になりますが、有人レジを併設する場合や、現金の受け渡しをスタッフが行うレジを別途置く場合は、その現金対応の設備(キャッシュドロアや自動釣銭機)を含めたスペースを個別にご確認いただくことをおすすめします。
よくある失敗:券売機・レジ周りの操作スペースと、現金対応設備(キャッシュドロアや自動釣銭機のつり銭補充・回収用の扉)の開閉スペースが干渉することに、内装工事が終わってから気づくケースです。
3. 対面接客型(小売店)
ポイント:レジを売場の奥ではなく「売場全体が見渡せる位置」に置きます
【配置の基本】想定規模:10〜15坪(小規模セレクトショップ等)
・バックヤード(奥):ストック・スタッフ作業スペース
・推奨レジ位置:売場中央、全体を見渡せる位置
・売場フロア(手前):レジ〜入口間はお客様の主動線として空けておく
レジを店の一番奥や壁際に置くレイアウトも多く見られますが、死角ができやすく、他の売場で接客をしている間にレジ周りから目が離れてしまいます。店の中央寄り、売場全体を見渡せる位置に置いていただくと、レジと接客を1人で回す小規模店舗では動きやすくなります。中央寄りに置く場合は、バックヤード(在庫ストック)の出入り口からの移動距離もあわせて確認しておくと、補充作業も含めて動きやすい配置になります。
必要な奥行きは、カウンターの使い方によって変わります。バーコードスキャナーやカスタマーディスプレイなどの機器を置くだけの独立台であれば45〜50cm程度でも収まりますが、商品をたたむ・袋詰めする作業スペースを兼ねる場合は、キャッシュドロアの標準的な外寸(幅330mm前後×奥行330〜415mm前後)に加えて作業用の手前スペースが必要になるため、60cm前後、場合によっては70〜90cm程度を見込んでいただくと安心です。もしカウンター幅をどうしても削りたい場合は、約30cm四方に収まるレシートプリンター一体型(スター精密 mPOP/POP10CI)をご検討いただくのも一つの方法です。
よくある失敗:機器を置くスペースだけで奥行きを決めてしまい、実際に運用を始めてから商品の袋詰め・包装スペースが足りないことに気づき、レジ台を買い替えることになるケースです。
4. 複数レジ・多レーン型(小売店)
ポイント:2台目を増設する余地を、内装業者様と事前にどちら側へ残すか決めておきます
【配置の基本】想定規模:20〜30坪(複数レーン設置の中型店舗。業態により40坪超になることもあります)
・バックヤード(奥):スタッフ作業スペース
・推奨レジ位置:1台目は中央〜端、床下配線の取り回しで判断
・増設余地:2台目を置く側を内装業者様と事前に決めておく
開業当初から複数台を並べるケースは少なく、まずは1台で始めて後から増設する前提で間取りを組む店舗様が多くいらっしゃいます。1台目をどこに置くかは床下配線の取り回しによって中央寄り・端寄りのどちらが適切かが変わるため、2台目を増設する余地をどちら側に残すかを内装業者様と事前にご確認いただくと、後から台数を増やす際に配線工事をやり直さずに済む可能性が高くなります。
よくある失敗:増設の可能性を伝えないまま配線・床下モールの位置を決めてしまい、2台目を増設するスペースや配線経路が確保できなくなるケースです。
5. 独立カウンター型(美容室・サロン)
ポイント:待合スペースとレジカウンターを分離します
【配置の基本】想定規模:10〜15坪(セット面3〜4席規模)
・施術スペース:スタッフ・お客様共有の作業エリア
・推奨レジ位置:独立カウンターで施術スペースと分離
・待合との位置関係:会計時の会話が待合に聞こえない配置にする
予約制で少人数対応が中心の美容室・サロン系でよく見られる形式です。施術スペースとは別に、独立したレジカウンターを設けるケースが多くなっています。会計時の会話(次回予約の相談や金額のやり取り)が、待合スペースで待っているお客様に聞こえにくい位置関係にすることを意識していただきたい点です。また、施術スペースのすぐ隣に置くと薬剤やカット中の毛髪が機器にかかりやすくなる点、会計カウンターが荷物預かりや予約管理の作業スペースを兼ねることが多い点も、配置を決める際にあわせてご検討ください。
カウンターの高さも間取りに影響します。立ったまま会計するハイカウンターと、座ってカウンセリングを兼ねて会計するローカウンターとでは、必要な奥行き・什器のサイズ感が変わってきます。立ち会計にするか、座り会計にするかを先に決めておくと、この後の内装打ち合わせで話がスムーズに進みます。
よくある失敗:施術スペースのすぐ隣にレジを置いてしまい、会計時の会話が待合に丸聞こえになるケースです。薬剤の飛散で機器を傷めるリスクにも気づきにくくなります。
5パターン比較表
| パターン | 向いている業種 | よくある失敗 | 対策の要点 |
|---|---|---|---|
| カウンター客席型 | 飲食店・カフェ | 厨房から遠い位置に設置 | 厨房側の出入り口付近に配置 |
| セルフレジ・券売機型 | 飲食店 | 入口とレジ待ち列の交差 | 入口から1〜1.5m程度の余白を確保 |
| 対面接客型 | アパレル・雑貨等の小売店 | 壁際・奥に置き死角発生 | 売場を見渡せる位置に配置 |
| 複数レジ・多レーン型 | スーパー・ドラッグストア型の小売店 | 増設スペース・配線経路の見落とし | 増設余地をどちら側に残すか内装業者と事前確認 |
| 独立カウンター型 | 美容室・サロン | 待合との距離が近すぎる | 施術・待合スペースと分離 |
よくある質問
Q. 間取り図の段階で、レジの機種まで決めておく必要はありますか?
A. 具体的な機種名を決めるのはこの段階では不要です。ただし「一体型かセパレート型か」という機器構成のタイプだけは内装設計前に決めておくことをおすすめします。コンセントの口数や天板の配線穴の位置が、このタイプによって変わるためです。機種決定のタイミングについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
Q. レジカウンターの奥行きはどれくらい確保すればいいですか?
A. 使う機器の組み合わせやカウンターの用途によって変わるため一概には言えませんが、レシートプリンター・バーコードスキャナー・キャッシュドロアを並べて置く想定であれば60cm前後、袋詰め・包装の作業スペースも兼ねる場合は70〜90cm程度を目安に考えておくと、後から機器を追加する場合にも対応しやすくなります。
Q. 居抜き物件の場合も、この記事の内容は当てはまりますか?
A. 居抜き物件で前のレジ位置をそのまま使う場合は、間取り自体を変更しないことが多いため本記事の対象外に近くなります。ただし前のレジ位置に不満があり位置自体を変える場合は、本記事の考え方がそのままお使いいただけます。居抜き物件の設備確認についてはこちらの記事をご参照ください。
まとめ
間取り図の段階で決めておきたいのは、レジの機種ではなく「位置」です。お客様導線とスタッフ導線が交差しない位置、レジ待ちの列が他の動線をふさがない奥行きの2点を仮決めしておけば、内装設計の打ち合わせがスムーズに進みます。位置が固まりましたら、次は電源・有線LANなどの配線の検討に進む段階になります。
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