ネットショップ運営の要(カナメ)といっても過言ではないくらい大切なのが商品撮影です。
だからといって、プロカメラマンに依頼するほどの予算がかけられない。
そんなあなたのために、過密な撮影スケジュールの合間に、素人でも商品をキレイに撮影する方法を探るべく、厚かましくも、大阪吹田市にあるフォトスタジオ、株式会社スタジオシュガールの佐藤学ぶさんにインタビューを決行しました。
スマホで商品撮影は可能か
株式会社スタジオシュガール 佐藤学ぶさん(以下「佐藤」):
スマホで風景を撮ってまぁまぁ綺麗というのはありますけど、商品を魅力的にっていうのは結構難しいですよ、意外と。
例えば、アルミ製品の場合、キレイにヘアライン仕上げ部分が出なかったりとか、デジカメでも皆が同じように撮るから横一線になってしまったり。そこをどうするかで(ブランディングとか、他社との差別化的なとこが)結構ねぇ・・・
最近、スマホでも綺麗に撮るにはどうしたらいいかとかよく聞かれるので研究はしているのですが、スマホで(商品を)撮るだなんて、結構、無茶ぶりっすよね(笑)
インタビュアー(以下「イ」):
・・・
やはり商品撮影は、ちゃんとしたカメラの方がいい?
佐藤:そうですね。意外と服装も大事だったりします。(服の色は)黒がいいですね、映り込んだりするので。だから(カメラマンの服の色は)黒が多いんです。
色でいうとプロの持ってるカメラって黒なんですよ。シルバーのカメラってあんまり持ってないでしょ?
昔、素人のカメラはシルバーだったんです。シルバーのカメラって映り込むんですよ。
イ:カメラ本体もですか?
佐藤:そうです。昔はシルバーのカメラを持ってて、プロが黒いカメラを使っていたから、黒いカメラに対する憧れがすごく強い時期がありましたし、ブラックモデルっていうのがプロっぽくて人気ありました。
- 写り込まないように、服装もカメラ本体も色は黒がいい。
- 商品撮影は、やっぱりちゃんとしたカメラの方がいい。
ぼけない3大要素
イ:あ、そういえば、よくあるじゃないですか、商品に焦点を合わせて背景をぼかすような撮り方ってコンパクトカメラでも出来るのですか?
佐藤:出来ますよ。光を受けるCCD、最近だとCMOS(センサ)が大きくなればなるほど、ぼけやすいんすよ。で、コンパクトカメラって、CMOSが小さいんですよ。だからぼけにくいんです。
で、あとそれプラス、レンズが望遠であればあるほど、背景がぼけやすくなるんです。
被写界深度が浅い。被写界深度とはピントのあう範囲なんですけど、それが狭くなるんですよ。で、レンズを絞れば絞るほど、目を細めるのと同じでピントがあうんすよ。ということはぼけにくいんですよ。で、明るければ明るいほどぼけやすいっていう。
だからコンパクトカメラでぼかすのはものすごく難しいんです。
広角だし、F値(レンズの焦点距離を有効口径で割った値であり、レンズの明るさを示す指標として用いられる)も暗いレンズだし、CMOSも小さいから。
ぼけない3大要素が入ってるんですよ。
イ:背景をぼかそうと思ったら一眼レフの方が良い?
佐藤:そうですね。一眼レフの方が、CCDも大きくて、レンズも大きな口径のがあるし、望遠レンズも豊富にあるじゃないですか。
だからぼけやすい。それだけの事なんです。
一眼レフだからってことではなく、その3つの要素があるからというだけの話なんです。
逆に、コンパクトカメラだからぼけないということでもなく、フルサイズといってキャノンやニコンの一眼レフと同じ大きいセンサが入っているものも中にはあり、それはF値が2とか明るいんですよ。普通は4~6くらいなんですけど、これだけ明るいものだとぼけるんですよ。
マクロ(レンズ)とかもあって、かなりぼけるんですよ。
- CMOS(センサ)が小さいこと。
- F値が暗いこと。
- 広角レンズであること。
フルサイズが最強
イ:デジタル一眼レフって、素人でもそこそこ使えたりします?
佐藤:一眼レフならキャノンかニコンのが間違いないですね。
ま、(同メーカーでも)ランクによって全然違います。シルバーとかピンクの結婚式でよく見るやつあるじゃないですか、あんなので綺麗に撮れって、どうやって撮るのっていう(笑)
イ:やっぱり素人がそれなりに商品撮影をするなら、デジタル一眼レフを使った方が良い感じですかね?
佐藤:そうですね。デジタル一眼レフか、普通の一眼レフ、ま、欲を言えばキャノンかニコンの一眼レフ。フルサイズが最強ですけど。
イ:それって市場価格でおいくらくらいのものなんですか?
佐藤:安かったら15~17万くらい、ニコンだと20万前後くらいしますかね。10万前後は(CMOSが)小さいやつ。ま、それでも十分ですけどね。カメラ好きな人は、どうぞフルサイズをって感じで。そうじゃない人はEOS Kissとかが良いと思います。
- フルサイズで15~17万円くらい。
- イメージセンサが小さいもの(APS-Cサイズ)で10万円前後。
「だってお金かえってくるでしょ?」
イ:商売で使うなら先行投資してそこそこのを買いなさいという感じですかね?
佐藤:無金利ローンで20万くらいのやつを20回払いしちゃったらいいんじゃないですかね?
だってお金かえってくるでしょ?趣味じゃないもんね。
イ:撮った商品を販売して儲けてくださいと。
佐藤:いいカメラは、いいカメラなりにやっぱり人。そうじゃないカメラはそうじゃないカメラなりにやっぱりそういうもの。だから(いいカメラなら)型遅れとかでも全然いいと思いますよ。
それでも素人が商品撮影するには?
佐藤:この紙買ったら一番早いと思うんですけど。
イ:バック紙ですか?
佐藤:そう、バック紙。僕らはいつも使うので電話一本で「何番の何m巻きのやつを持ってきて」って頼めば翌日に届く感じです。結構種類多いんです。
ヨドバシカメラとかでも売ってるんですよ。1.3mくらいのハーフってのが(ブツ撮りに)ちょうどいい感じです。
あと、写真教室とかに通うのも一つですね。
時計、メガネ、宝石などの撮影は難しいですね。案外いけるのがガラス、料理とか。
イ:洋服とかはどうでしょ?
佐藤:あー、洋服は大丈夫ですね。撮りやすいんすよ。
イ:自社で取り扱っている商品によっても、自分達で撮れるものとそうじゃないものがあるんですね。
佐藤:宝石屋さんのブログとか(スタッフが撮影した)写真ってめちゃくちゃでしょ?良く見えないでしょ?難しいんですよ。下手とかじゃなくて。アパレル(洋服)ってなんかいい感じでしょ?撮りやすいんですよ。ただそれだけの差なんですよ。
100均で売ってるものを使う
佐藤:素手で触ると指紋がつく商品の場合は、アルバムに入れたりとか写真をさわるとき用の白い薄手の手袋ってのがあるんですよ。これ、100均ですよ。
夏、汗をかいたりすると繊維が粗いので隙間から蒸気がでてちょっと(商品に)つくみたいな(笑)
イ:100均だから(笑)
で、このシュポシュポするのは何ですか?
佐藤:ブロワーっていいます。(※これは100均ではありません。フランス製のいいやつです。)商品やカメラのレンズについたホコリを取ったりします。白い商品なら大丈夫なんですけど、黒の商品の場合はホコリが目立ちますからね。安いのだと500円くらいで売っています。ヨドバシカメラとかカメラのレンズを取り扱っているところで入手できます。
イ:ヨドバシカメラよく出ますね(笑)
・・・っとまぁ、まとめるつもりが全くまとまりませんでした。
カメラの選び方やお金のかけ所など、少しでも店舗運営のヒントになれば幸いです。
やはり餅は餅屋ですね。
取材協力: Sugarl
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